ビブラートとは?
ビブラートとは、声を震わせたり揺らすテクニックのことです。歌唱中に音をただまっすぐに伸ばすだけでは、単調に聞こえてしまいます。しかし、音の終わりに声を波打たせるように揺らすと、音に表情が加わり、歌が上手く聞こえます。ビブラートは、声の揺れ幅が一定で、間隔がきれいに途切れないことが重要で、このようにコントロールされ、美しく自然に聞こえます。
ビブラートを使うことで、歌の表現力が豊かになり、聴く人に心地よさを与えることができます。特に長い音を出す「ロングトーン」の際に効果的で、1秒間に6回の揺れが最も心地よく聞こえるとされています。
例えば、「あーーーー」という発声を「あ〜〜〜〜」と波打つように揺らすことで、途切れることなく小刻みに音を上下に揺らすことができます。
ビブラートを使うと、声に表情をつけやすくなり、声が心地よく響くようになります。さらに、マスターすることで、歌がより上手く聞こえるようになります。カラオケの採点システムにも評価項目として取り入れられており、これを使いこなすことで高得点を狙うことができます。
ビブラートは3種類
「横隔膜でかけるビブラート」「喉でかけるビブラート」「口でかけるビブラート」の3つの方法があります。それぞれの特徴と練習方法を紹介します。
1. 横隔膜でかける
横隔膜は、胸郭と腹腔の間にある筋肉です。横隔膜を揺らすことで声を揺らします。横隔膜を上下に動かし、声の揺れ幅や速さを調整することで自然なビブラートがかけられます。
例えば、「あぁあぁあぁあぁ!」と大げさに発声してみてください。声が上下に揺れる感覚を掴むことができます。横隔膜を使ったビブラートは安定感があり、速い曲にも遅い曲にも対応しやすいのが特徴です。
2. 喉でかける
喉を揺らして声を震わせる方法です。このビブラートは音の変化を細かくつけやすいのが特徴ですが、喉に負担がかかりやすいため注意が必要です。
「う〜ら〜め〜し〜や〜」と発声する練習をしてみてください。このフレーズを言うときに喉を揺らす感覚を掴むことができます。喉に力が入りすぎないようにリラックスして発声することが大切です。
3. 口でかける
口を軽く上下に開け閉めしながら声を揺らす方法です。演歌歌手がよく使うこのテクニックは、「あうあうあう」と発声しながら顎を動かすことで習得できます。
しかし、アップテンポの曲には向いておらず、顎に力が入りすぎると逆効果になるので注意が必要です。ゆったりとした曲に向いているビブラートのかけ方です。
これらの3つのビブラートを使い分けることで、歌唱表現の幅が広がります。横隔膜ビブラートは自然で安定感があり、速い曲や遅い曲に対応しやすいのが特徴です。
喉ビブラートは細かい音の変化がつけやすいですが、喉への負担に注意が必要です。口ビブラートは特定のジャンル(特に演歌)に向いていますが、早いテンポの曲には不向きです。練習を積んで、これらのビブラートを使いこなすことで、歌がより豊かで魅力的になります。
うまくできない理由
上手くできない理由には、いくつかの共通した原因があります。以下にその原因と解決方法を詳しく解説します。
1. 腹式呼吸ができていない
ビブラートの基本は、安定した呼吸法にあります。腹式呼吸ができていないと、声のコントロールが難しくなり、かけることができません。腹式呼吸は、横隔膜を使って息を吸い込み、肺に十分な空気を送り込む方法です。これにより、発声時に安定した息を供給でき、自然なビブラートをかけやすくなります。
腹式呼吸ができているか確認するためには、寝転んだ状態で呼吸をしてみてください。寝ているときは自然に腹式呼吸になります。お腹が上下に動いているかを確認しましょう。また、仰向けに寝た状態でお腹に手を置き、息を吸うときにお腹が膨らむのを感じることで、正しい腹式呼吸を習得できます。
2. 力が入りすぎている
喉や首、肩などに力が入りすぎていると、ビブラートをかけるのが難しくなります。力が入ると声が硬くなり、自然な揺れを作ることができません。リラックスした状態で発声することが重要です。
特に喉の力を抜くことが大切で、力を抜く練習としては、首や肩のストレッチを行うと効果的です。発声時に鏡を見ながら、自分の体がリラックスしているかを確認すると良いでしょう。
3. 横隔膜の動きがわからない
横隔膜を使ったビブラートは安定感があり理想的ですが、横隔膜の動きがわからないと難しい場合があります。
「あぁあぁあぁあぁ!なるほど!」と大げさに発声してみると、横隔膜が揺れる感覚を掴みやすくなります。この発声練習を繰り返すことで、横隔膜を使ったビブラートが習得しやすくなります。
4. 喉のビブラートが未熟
喉を使う場合、比較的早く習得できる方法ですが、喉に負担がかかりやすいため、喉をリラックスさせることが大切です。「う〜ら〜め〜し〜や〜」と発声する練習をすると、自然と喉のビブラートを体感できるでしょう。これを繰り返し行うことで、喉を使ったビブラートが徐々に身についてきます。
まとめ
ビブラートを習得することで、歌の表現力が格段に広がり、聴く人を惹きつける力が増します。最初は難しく感じるかもしれませんが、焦らずリラックスして取り組んでください。
腹式呼吸をマスターし、体の力を抜いて発声することで、自然なビブラートが身につきます。少しずつ進歩を感じながら、継続的に練習を重ねてください。その努力は必ず実を結び、あなたの歌声が一層魅力的になるでしょう。応援しています!